鉄フライパンとスキレットの違いは?

この記事は約 5 分で読めます。

こんにちは、めしラボ(@MeshiLab)です。

鉄の調理道具が好きで日常的に使っています。たとえば鉄フライパン、中華鍋、スキレット、ダッチオーブンなどです。これらの調理道具に興味がある場合には「鉄フライパンとスキレットの違いとは何か?」が気になることもあるはずです。この違いが理解できていると料理に合わせて選べるようになります。

鉄フライパンとスキレットは用途により使い分けます。

めしラボめしラボ

今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 鉄フライパンやスキレットに興味がある。
  • どちらを購入するべきかに悩んでいる。
  • 鉄フライパンとスキレットの特徴を知りたい。

鉄フライパンとスキレットの違いは熱容量にあります。

鉄フライパンは鋼鉄をプレスもしくは打ち出しで作られ、スキレットは鋳鉄(鋳造)で作られています。機械的性質に大きな違いはありませんが厚みが異なるために熱容量には大きな違いができます。これは熱容量が「比熱×質量」であるためです。

スキレットは鋳鉄(キャストアイアン)であるために重く、結果として熱容量が高くなります。

スポンサーリンク

鉄フライパンとスキレットの特徴は?

鉄フライパンはプレスもしくは打ち出し、スキレットは鋳物です。

鉄フライパンは圧延鋼(熱間圧延鋼板や冷間圧延鋼板など)をプレスもしくは打ち出しで成形されますが、スキレットは溶かした鉄を鋳型に流し込んで作られます。この違いによりフライパンは2mm前後、スキレットは5mm前後の板厚になります。

この違いが熱容量の違いになります。

鉄フライパンスキレット
熱容量
大きい

とても大きい
扱いやすさ
扱いやすい

扱いにくい
くっつきにくさ
くっつきやすい

くっつきにくい

機械的性質に大きな違いはありません。

どちらにも「熱伝導率は良くない(80.3W/(m・K))」「比熱は普通(0.44kJ/(kg・K))」「密度が高い(7.87g/cm3)」「サビやすい」などの特徴があります。このことからも鉄フライパンの扱いに慣れていればスキレットは問題なく使えますし、その逆もしかりです。

鉄フライパンとスキレットの調理性は似ています。

しかし鋳鉄(キャストアイアン)であるスキレットには無数の小さな穴が開いていることにより「鉄フライパンよりも食材がくっつきにくい」「鉄フライパンよりもつやが出にくい(ブラックポットになりにくい)」などの特徴もあります。

調理だけを考えればスキレットの方が扱いやすいといえます。

鉄フライパンとスキレットの使い分けは?

熱容量の違いを考慮して使い分けます。

熱容量とは調理道具(鉄フライパンやスキレット)に蓄えられている熱エネルギー量です。鉄フライパンやスキレットに食材を乗せると蓄えられていた熱エネルギーは食材の方へと移っていきますので表面を素早く焼き固めることができます。

これにより熱容量の高い調理器具は焦げつきにくく優しく火が入ることになります。

鉄フライパン豚のしょうが焼きなど
スキレット厚切りのステーキなど

扱いやすさは鉄フライパンに分があります。

スキレットは料理(特に焼きもの)をおいしくしますが、鉄フライパンのように振ることはできませんし準備や後片付けには時間がかかります。このことからも日常的に手に取ることが多くなるのは鉄フライパンになります。

どちらが優れているということはありません。

たとえば鶏のディアボラ風を作る場合、鉄のフライパンはフッ素樹脂加工のフライパンと比べればおいしく作ることができますが、スキレットを使えば皮はパリッと身はふっくらとした本格的なお店のような仕上がりになります。

適材適所を見極めることがポイントになります。

表面の黒色の違いは?

鉄フライパンとスキレットはどちらも黒色をしています。

しかし鉄フライパンの黒色は酸化被膜(四酸化三鉄)と油膜の色であり、スキレットの黒色は樹脂塗装の色です。スキレットの樹脂塗装は次第に剥がれていきますので、いずれは鉄フライパンと同じ酸化被膜と油膜の色に落ち着いていきます。

また、日本製の鉄器の場合も基本的には同じです。

型出しされた鉄器は鉄の色(鈍い光沢のあるねずみ色)をしていますが、そのままでは錆びてしまいますので900℃ほどの高温で加熱することにより青っぽいねずみ色をした酸化被膜(四酸化三鉄)を形成させます。(※家庭で作れる酸化被膜は600℃ほどです)

さらに植物性の樹脂を塗ることで仕上げられます。

まとめ・鉄フライパンとスキレットの違いは?

鉄フライパンとスキレットの違いは熱容量(比熱×質量)にあります。

この違いによりスキレットには「食材がくっつきにくい」「温度が下がりにくいために料理の仕上がりが良くなる」などのメリットがあります。しかし準備や後片付けの労力が大きくなるために日常的な調理には鉄フライパンが選ばれることが多くなります。

このことからも手間と料理の出来を考慮して上手に使い分けることがポイントになります。

※板厚はデバイヤーの場合は24cmまでが2.5mm、それ以上が3.0mmです。山田工業所の場合は1.6mm、2.3mm、3.2mmの3パターンがあります。厚板はじっくり焼きたい料理、薄板はサッと炒めたい料理に向いています。