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こんにちは、めしラボ(@MeshiLab)です。
田舎に住んでいると秋にはたくさんの柿が採れます。特別な手入れをしていなくても柿の実ができますので、多くの家庭ではそのまま放置してしまっています。また柿を収穫する家庭であってもすべてを消費するのは現実的ではありません。
そこでおすすめしたいのが柿酢です。

今回の記事は次のような人におすすめ!
- 失敗しない柿酢の作り方は?
- 柿酢にカビが生えてしまったらどうすればいい?
- 柿酢をカビさせないポイントは?
柿酢は柿を発酵させて作られます。
作り方はシンプルです。熟柿を潰して清潔な容器に入れておくことで「糖(グルコース)がアルコール発酵によりエタノールとなり、エタノールが酢酸発酵により酢酸」になります。原理は簡単ですが腐敗菌の混入により腐ってしてしまうこともあります。
失敗しないためにもポイントは押さえておく必要があります。
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柿酢の作り方は?
- 柿 … あるだけ
道具
- 果実酒用の瓶(発酵用)
- 麺棒
- ザルやこし器など
- 保存瓶(熟成用)
- なるべく甘い柿を用意します。熟柿になっていない(綿棒でつぶせるほどの柔らかさになっていない)場合には新聞紙とビニール袋に包んで追熟させます。
- 軽く(すすぐ程度に)洗い水気を取ります。柿のヘタを取ってから4つ割くらいにします。傷んでいる部分は取り除きます。清潔な保存容器に入れて、麺棒などを使ってつぶします。
- 容器の側面や口などが汚れてしまった場合にはきれいに拭き取っておきます。虫(ハエなど)の侵入を防ぐためにも、晒などで蓋をします。
- 直射日光があたらない、温度変化の少ない場所で管理します。はじめの1週間は毎日、アルコール発酵中は週一程度、酢酸発酵のフェーズに移行したらかき混ぜるのを止めます(かき混ぜても月一程度にします)。そのまま1ヵ月~半年間ほど発酵させます。
- お酢(酢酸)の濃度が高くアルコールが少なくなっていることを確認してから、2~3段階に分けて濾します。清潔な容器に移して熟成させます。加熱殺菌(火入れ)をしない場合には破裂の恐れがありますので密閉はできません。
今回紹介しているのはシンプルなレシピです。
レシピによっては「砂糖を加えて濃度の高い柿酢を作る方法」や「ドライイーストを加えてアルコール発酵を早める方法」なども存在しますが、特別な理由がなければ柿の実だけで作るシンプルなレシピで試してみることをおすすめします。
またアルコール発酵と酢酸発酵とで温度管理をする方法もありますが、はじめての柿酢作りであれば難しく考える必要はありません。まずはシンプルな方法で試してみることをおすすめします。
アルコール発酵を伴うことから、酒税法が問題になる可能性があります。念のため確認してみましたが、(自家消費目的での柿酢の醸造に関しては)合法・違法のどちらとも取れる記述になっています。このことからも柿酢を作る場合には自己責任にてお願いします。
柿が柿酢になる仕組みは?
柿は発酵により柿酢になります。
柿酢はできるだけ甘い柿を使うことがポイントになります。柿に含まれている糖(グルコース)はアルコール発酵によりアルコールになり、アルコールは酢酸発酵により酢酸(お酢の成分)になります。そのため甘い柿を使うと濃度の高いお酢になります。
以下は柿が柿酢になる過程です。
清潔な瓶の中で柿を潰す
酵母により糖がアルコールになる
酢酸菌によりアルコールが酢酸になる
絞って清潔な瓶などで熟成させる
化学式は以下の通りです。
- アルコール発酵:C6H12O6(グルコース)→2C2H5OH(エタノール)+2CO2(二酸化炭素)
- 酢酸発酵:C2H5OH(エタノール)+O2(酸素)→CH3COOH(酢酸)+H2O(水)
ポイントとなるのがアルコール発酵です。
柿酢作りに失敗してしまう原因の多くは①(柿を潰す)~②(アルコール発酵する)の間に生じてしまうカビです。アルコールや酢酸に守られていない柿酢はカビの混入が起こりやすい状況です。逆を言えばこの段階さえ乗り越えることができれば柿酢作りに失敗することはありません。
そのため温度管理やイーストの添加により意図的にアルコール発酵を促すレシピも存在します。
カビが生じてしまったら?
柿酢にはカビが生じてしまうことがあります。
多くは柿を潰してからアルコール濃度が高まるまでの間に起こる問題です。柿酢は柿に含まれている糖がアルコール発酵と酢酸発酵により作られますが、柿を潰してアルコール発酵がはじまるまでの間はカビに対して無防備な状態です。
そのためアルコール発酵がはじまるまでの間はカビに注意する必要があります。
アオカビ(Penicillium sp.) | 青色 灰色 緑色 |
---|---|
クロカビ(Cladosporium sp.) | 深緑色 暗褐色 |
黒色酵母様菌(Aureobasidium sp.) | 黒褐色 |
軽度のカビは仕方のない部分があります。
そのため表面にカビが生えてしまったら早い段階で取り除きます。放置してしまうと柿酢がカビ臭くなってしまって食べられなくなります。表面にわずかに確認できる程度のカビであれば問題はありませんので安心してください。
カビを防ぐためには仕込んでから1週間ほどは毎日かき混ぜるようにします。
これはアルコール発酵をする微生物(酵母)には「空気に触れると増えやすい」「空気が遮断されるとアルコール発酵をしやすい」という特徴があるためです。はじめは良くかき混ぜて酵母を増やして、途中からかき混ぜる頻度を減らしてアルコール発酵を促すようにします。
これによりカビのリスクを最小限に抑えることができます。
カビによる失敗を防ぐには?
柿酢は熟柿で作ると失敗しにくくなります。
柿酢に失敗する原因の多くはカビにあります。柿酢は潰してからアルコール発酵が進むまでの間にカビが生じやすくなります。そのタイミングでかき混ぜずに放置してしまうとカビにより柿酢作りに失敗してしまいます。
カビを防ぐためには熟柿を使ってはじめから液状にしておきます。
はじめから液状にしておくことによって「アルコール発酵がはじまりやすくなる」「空気層が少なくなるためにカビのリスクが低くなる」などのメリットが得られます。特に柿酢作りに失敗したことのある方にはおすすめできる方法です。
熟柿にするには新聞紙に包んだうえでビニール袋に入れて暖かい場所に置いておくとスムーズに追熟します。
まとめ・失敗しない柿酢の作り方は?
柿酢の作り方は難しくありません。
熟した柿を潰して発酵(アルコール発酵と酢酸発酵)させることにより柿は柿酢になります。半年ほど発酵させたのちに絞ってから熟成させることで丸みのある美味しいお酢になります。熟した柿を使用してカビに注意していれば失敗することもありません。
柿が大量に余ってしまう家庭にはおすすめの調味料です。