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こんにちは、めしラボ(@MeshiLab)です。
柿酢には(ほのかに)アルコールを感じられることがあります。多くはごく微量のアルコールであるために問題にはなりませんが、発酵条件によってはアルコールが気になる場合もあるはずです。もちろん道路交通法や酒税法上の問題も起こりえます。
アルコールが感じられる場合には注意が必要です。

今回の記事は次のような人におすすめ!
- 柿酢にアルコールを感じることがある理由は?
- 柿酢にはどの程度のアルコールが含まれているのか?
- なぜ柿酢にはアルコールが含まれているのか?
醸造酢には0.2~0.3%程度のアルコールが含まれています。
食酢はアルコールを酢酸発酵させることで作られています。柿酢の場合であれば「①柿に含まれている糖(グルコース)が酵母によるアルコール発酵によってエタノールと二酸化炭素に変換される」「②エタノールが酢酸菌による酢酸発酵によって酢酸と水に変換される」といった工程です。
そのため多少のアルコールが残ってしまうことは避けられません。
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柿酢にアルコールが生じる工程は?
柿酢には微量のアルコールが含まれています。
日本農林規格(JAS)では、醸造酢を「酢酸発酵させた液体調味料であって、氷酢酸や酢酸を使用しないもの」と定義されています。そのため醸造酢を作るためにはアルコールを酢酸菌の働きによって酢酸に変化させる必要があります。
この際のアルコールは(微量ながらも)残ってしまいます。
- アルコール発酵(酵母) 糖(グルコース)→エタノール+二酸化炭素
- 酢酸発酵(酢酸菌) エタノール+酸素→酢酸+水
しかし微量のアルコールは柿酢にとって必要なものです。
アルコール(エタノール)は各種有機酸と結びつくことにより特有の香り(華やかな果実臭など)を生み出しています。そのため発酵により生じた微量のアルコールが残っていなければ柿酢は物足りないものとなる可能性があります。
アルコールは柿酢のフルーティーな香りに一役買っています。
アルコールを強く感じられる要因は?
原因の多くは絞るタイミングです。
柿酢は酵母によるアルコール発酵と酢酸菌による酢酸発酵により作られていますが、酢酸発酵が十分に進んでいないタイミングで絞ってしまうと「アルコール臭の強い柿酢」になってしまう可能性があります。
微生物の働きは環境に左右されるために一定ではありません。
酵母(S・セレビシエ) | 糖を分解してアルコールを生産 |
---|---|
酢酸菌(アセトバクター・アセチ) | エタノールを酸化して酢酸に変換 |
そのためアルコールが気になる場合には、絞るタイミングを遅らせます。
柿酢を絞るタイミングにはレシピによる違いがありますが、温度の低い環境で発酵期間の短いレシピを参考にするとアルコール臭い柿酢になってしまうリスクが高くなります。アルコールが気になる場合にはそのまま寝かせておくことで酢酸菌を働かせます。
アルコール発酵は糖の減少により頭打ちになります。
柿酢を絞るタイミングは短いレシピだと1カ月ほど、長いレシピだと半年から1年ほどになります。好みにもよりますが、個人的には低温発酵させて(温度の低い倉庫などに置いておいて)春先に絞ることをおすすめします。
今年は桜が散った頃に絞りましたが、良い味でした。
道路交通法や酒税法上の問題は?
醸造酢には0.2~0.3%のアルコールが含まれます。
これは問題の起こらないアルコール分ではありますが、手作りの柿酢の場合には正確なアルコール含有量が分かりませんので注意が必要です。明らかにアルコールを感じられる場合には判断力の低下などの問題が起こる可能性もありますので(特に運転を控えている場合には)口にしないことをおすすめします。
酒税法に関しては合法・違法どちらとも取れる記述になっています。たとえば「酒税の保全上支障がないもの」として除外されるとも取れますし、「酒類の原料となる物品に発酵させる手段を講じたもの」として包含されるとも取れます。
販売に関しては確実に違法です。
これらのことからも「自家消費のための柿酢に関する法的な規制は明確には定まっていない」と言わざるを得ません。しかし古くからの食文化であることからも自家消費のための柿酢作りが大事になることはないかと思われます。
責任は持てませんので、最終的には自己判断にてお願いします。
まとめ・柿酢にはアルコールが含まれている?
醸造酢には0.2~0.3%のアルコールが含まれています。
柿酢にアルコールが含まれることは柿図を作る工程上避けられません。しかしアルコール(エタノール)には有機酸と結びついて華やかな果実臭を生み出すという役割がありますので美味しい柿酢にはなくてはならない存在であるといえます。
アルコール臭が気になる場合には発酵不足が考えられますので、絞るタイミングを遅らせることで対応します。酒税法に関しては合法・違法のどちらとも取れる記載となっていますので、自己判断にてお願いします。