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こんにちは、めしラボ(@MeshiLab)です。
絞ったばかりの柿酢や発酵期間の短い柿酢には「華やかな果実臭」や「荒々しい口当たり」といった特徴があります。もちろんそのままでも美味しいのですが、柿酢は熟成させることで酸味の角の取れたまろやかな味わいになります。
柿酢を作ったのであれば、熟成も視野に入れることをおすすめします。

今回の記事は次のような人におすすめ!
- 柿酢を熟成させることの意味は?
- 熟成させると酸味の角が取れてまろやかになる仕組みは?
- 熟成させることによる変化は?
柿酢は熟成によりまろやかになります。
柿酢を熟成させると「透明な色合いから黄金色や琥珀色へと変わっていく」「酸味の角が取れてまろやかな味わいになる」などの変化が起こります。色合いの変化はアミノカルボニル反応によるものですが、熟成のメカニズムが解明されているわけではありません。
ここでは基本的な熟成方法と熟成の(わかっている範囲での)メカニズムを説明します。
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柿酢の熟成方法は?
柿酢は冷暗所にて熟成させます。
柿酢は紫外線と温度変化(高温)によって著しく劣化します。そのため温度変化の少ない冷暗所で熟成させることがポイントになります。保存瓶には紫外線を遮断する効果の高い「茶色や緑色の瓶(日本酒の瓶など)」がおすすめです。
これにより紫外線による異臭を防ぐことができます。
- 紫外線を避ける
- 温度変化(特に高温)を避ける
完全に封をすることはおすすめしません。
柿酢には各種微生物(酵母や酢酸菌など)が残っています。完全に密閉してしまうと酵母により生成される二酸化炭素(炭酸ガス)によって破裂事故が起こる可能性がゼロではありません。そのため火入れをせずに完全密閉することはおすすめしません。
しかし通気は最小限にした方が品質は安定しますので、日本酒の瓶などのように表面積の少なくなる保存瓶にサラシや簡易的なボトルキャップなどで蓋をします。
色が濃くなっていく仕組みは?
柿酢はアミノカルボニル反応により色が濃くなります。
仕込んだばかりの柿酢を絞っても透明に近い色合いですが、熟成が進むにつれて黄金色や琥珀色へと変化していきます。これはアミノカルボニル反応(メイラード反応)によりメラノイジンと呼ばれる褐色色素が増えていくためです。
これにより風味が変化します。
メラノイジンはアミノ酸などのアミノ基と還元糖などのカルボニル基が反応してできる重合物ですので、アミノ酸含有量の多い柿酢は「熟成により色が濃くなりやすい(風味が変化しやすい)」という性質を持つことになります。
熟成による変化を感じられやすいということです。
柿酢の熟成には冷暗所がおすすめです。柿酢を高温で管理してしまうとアミノカルボニル反応が早く進みすぎてしまうために風味が損なわれてしまう可能性があります。柿酢を熟成させる意味はメイラード反応だけではありませんので注意が必要です。
酸味の角が取れてまろやかになる仕組みは?
柿酢は熟成によりまろやかになります。
液体の水は水素結合によりクラスター(2個以上の分子が比較的に弱い相互作用で集合している状態)を形成しています。柿酢の酸味(酢酸)は水の集合体に取り込まれているような状態で存在していることになります。
この状態が熟成により微妙に変化します。
- 水の集合体が大きくなる
- 酢酸分子が水の集合体の中に入り込む
これにより柿酢はまろやかになります。
熟成前の柿酢は酢酸が単体で存在しているために酸味に角があるように感じられますが、熟成を経て水の集合体(水クラスター)に包まれたような状態に変化することにより酸味の角が取れてまろやかな味わいに変化していきます。
また様々な成分が微妙な化学変化を起こしていることも、熟成によるまろやかさにつながっている可能性があります。
まとめ・柿酢を熟成させることによる変化は?
柿酢は熟成により味わいが変化します。
柿酢は熟成させることにより「色合いが褐色になる」「風味が変わっていく」「酸味の角が取れてまろやかな味わいになる」などの変化を起こします。これはアミノカルボニル反応や水クラスターとの関係性による変化です。
熟成には好みがありますが、一般的には熟成期間が長いものが好まれる傾向にあります。