
この記事は約 5 分で読めます。
こんにちは、めしラボ(@MeshiLab)です。
干し柿は乾燥途中に揉むことがあります。揉まなくても干し柿を作ることはできますが、渋柿の熟度や天候などによっては(揉まずに作ると)美味しくない干し柿になってしまうことがあります。そのため多くのレシピ(特にころ柿のレシピなど)では揉むことが推奨されています。
調理工程は目的を理解できていることが大切です。

今回の記事は次のような人におすすめ!
- 干し柿をもむ理由を知りたい。
- 揉まずに仕上げるリスクは?
- 干し柿の揉み方は?
干し柿は揉むことがあります。
干し柿は渋柿を干すことにより「渋味が抜けて甘くなる」「干し柿特有の風味や食感が生まれる」「保存性が高まる」などのメリットが得られます。しかし揉まずに干してしまうと「渋が残ることがある」「表面が固くなりすぎてしまうことがある」などのリスクがあります。
これらのリスクを避けるためにも干し柿には揉みながら仕上げていくレシピがあります。(※もちろん揉まずに仕上げていくレシピもありますので、仕上がりをイメージして使い分けていくことがポイントになります)
スポンサーリンク
揉まないと渋残りしやすい理由は?
干し柿は渋残りすることがあります。
干し柿の脱渋にはアセトアルデヒドが利用されています。渋柿の皮を剥いて干すことによりアルコール(エチルアルコール)が生成されます。生成されたアルコールから水素が外れるとアセトアルデヒドになり、柿タンニンと結合することにより渋味を感じにくくなります。
これが干し柿の甘くなる仕組みです。
渋柿の皮を剥いて干しておく
アルコールが生成される
アセトアルデヒドが生成される
タンニンと結合して脱渋される
しかし乾燥が早すぎると渋残りすることがあります。
干し柿の脱渋には柿タンニンにアセトアルデヒドを結合させる必要があります。しかしあまりにも乾燥のペースが速すぎると柿タンニンとアセトアルデヒドが結合する前に(柿タンニンが不溶化する前に)乾燥してしまいますので渋残りが起こります。
そこで揉むことにより水分を均一にします。
干し柿の渋残りは肩の部分やお尻の部分などの乾燥が進みやすい部位に起こりやすくなりますので、それらの部位を重点的に揉むことにより渋残りが起こりにくくなります。
揉むことで食感が良くなる理由は?
揉むことで干し柿の食感が良くなります。
干し柿には乾燥により生じる独特の風味や食感があります。これらの特徴は干し柿のメリットではありますが、表面の乾燥があまりにも進みすぎてしまうと歯ごたえが強くなり過ぎて好まれない食感になってしまうことがあります。
そのため揉むことにより食感(水分率)を均一にします。
干し柿は揉むことにより内部の水分が外に出てくるようになりますので、揉みながら仕上げた干し柿は外側がしっとりしていて全体のバランスが良くなります。また内部の水分が出てくるということは柿霜ができやすいということでもあります。
ころ柿の仕上がりをよくしたい場合には揉むことをおすすめします。
干し柿の正しい揉み方は?
干し柿の揉み方にはコツがあります。
ポイントとなるのが「10日ほど干して表面が乾いてから優しく揉みはじめる」「肩の部分とお尻の部分から揉みはじめる」「雨の前日と当日は揉まないようにする」「仕上がりに近くなってきたら芯を切って真ん中を揉みほぐす」などです。
破裂(パンク)させないように優しく揉みほぐしていきます。
1週間から10日ほどは触らずに表面を乾燥させます。表面の乾燥に要する期間は天候や湿度、渋柿の熟し加減などにも左右されますのでよく観察して「優しく揉んでもパンクしない乾燥加減」を見極める必要があります。
step.1
干し柿は乾燥の早い部分に渋残りをしやすくなりますので「肩の部分」と「お尻の部分」から優しく揉みほぐしていきます。パンクさせないことがポイントになりますので、少しずつ柔らかくしていきます。
step.2
干し柿を揉むと内部の水分が外側に出てきます。そのため雨の前日と当日はカビのリスクが高くなりますので揉まないようにします。しかし直射日光に当てているなどの理由から過乾燥気味の場合には揉むことでコントロールすることもあります。
step.3
仕上がりに近くなってきたら芯を切って真ん中の(これまで揉んでこなかった)部分を揉みほぐしていきます。芯を切るタイミングや真ん中を揉みほぐすタイミングが早すぎると干し柿が落ちることがありますので注意が必要です。
step.4
揉みの有無は仕上がりにより変わります。
ころ柿などのように水分率25%程度まで乾燥させる干し柿は早い段階から揉んで食感を軟らかくするレシピが多くなっていますが、あんぽ柿などのように水分率50%程度まで乾燥させる干し柿では揉まないで仕上げるレシピが多くなります。
好みや環境の違いもありますので、色々と試してみることをおすすめします。
まとめ・干し柿をもむ理由は?
干し柿は揉むことで仕上がりが良くなります。
干し柿は揉まなくても作ることができます。しかし乾燥条件(乾燥時の天候や湿度など)によっては揉まないと渋残りすることがありますので多くのレシピでは揉むことが推奨されています。また揉むことにより食感も良くなります。
手間はかかりますが揉んだ方が仕上がりは良くなります。