干し柿の干し方は?

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こんにちは、めしラボです。

干し柿は皮を剥いた渋柿を乾燥させて作ります。水分量の多い柿を干しますので干し方(干す場所や天候など)によってはカビが生じてしまうこともありますし、日に当てすぎてしまうと黒ずんでしまうこともあります。

柿の干し方は干し柿の品質を左右します。

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今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 干し柿の干し方を知りたい。
  • 干し柿の紐を使った吊るし方を知りたい。
  • 品質の良い干し柿を作るはどのように干せばいいのか?

干し柿は風通しの良い半日陰に干します。

干し柿は皮を剥いた渋柿を約35%まで干していきますので、風通しの悪い場所に干してしまうとカビが生じてしまうことがあります。また直射日光に当たる時間が長すぎると干し柿が黒く変色してしまいますので可能であれば風通しの良い半日陰が理想です。

しかし風通しや湿度に問題がある場合には意図的に日向に干すこともあります。

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風通しの良い場所が良い理由は?

干し柿は風通しの良い場所に干します。

干し柿は乾燥歩合35%程度まで乾かして作られますが、乾燥初期(皮膜形成期)の乾燥が遅れるとカビが生じやすくなりますので(少なくとも皮を剥いてから7~10日ほどは)風通しの良い場所に干すことがポイントになります。

これによりカビのリスクを最小限に抑えることができます。

  • 殺菌~10日目頃:表面が乾燥して皮膜が形成される時期
  • 乾燥7日目~2週間頃:内部拡散によって糖分がにじみ出てくる時期
  • 乾燥2週間~20日目頃:蒸散と内部拡散を繰り返して乾燥が進む時期
  • 乾燥20~40日目以降:乾燥が進んで縦ジワが発生する時期

スムーズな乾燥には風通しと湿度がポイントになります。

天気が良くても風がなくて湿度が高ければ皮膜形成期の乾燥が進まずにカビが生じやすくなってしまいますし、天気が悪くても風があって湿度が低ければ乾燥がスムーズに進むためにカビは生じにくくなります。干し柿作りに失敗しないためには「風通しの良い場所」が欠かせません。

また皮膜形成期の7~10日間ほどは湿度の低い日を選ぶことも大切です。

直射日光によって変色してしまう理由は?

干し柿は直射日光に当たりすぎない場所に干します。

柿を直射日光に当てて干すと黒く変色しやすくなります。これは皮を剥かれた渋柿が「フェノール化合物が酵素と酸素に触れる→酸化により結合した分子が光を吸収して黒く変色する」という反応を起こしてしまうためです。

干し柿は強い光にあてるほどに黒く変色しやすくなります。

  1. 皮を剥くことで空気に触れる

  2. フェノール化合物が酸化する

  3. 結合した分子が光を吸収する

  4. 干し柿全体が黒く変色してしまう

プロが直射日光を避けて乾かしているのはこのためです。

風通しの良い場所を確保できない場合には、直射日光に当てて皮膜形成期を素早く通過させるようにします。直射日光に当てることによって黒く変色する程度は大きくなりますが、本当に怖いのは変色よりもカビですので優先順位を見誤らないようにします。

これによりカビのリスクは最小限に抑えることができます。

紐を使った干し柿の吊るし方は?

柿の干し方にはいくつかのパターンがあります。

最もスタンダードな干し方は紐を使って吊るす方法であり、量が少ない場合は「2個で1組になるように紐の両端に結ぶ方法」が好まれ、量が多い場合には「1本の紐に7~10果程度をくくって連にして吊るす方法」が好まれます。

連にする場合には「横つり」や「縦つり」などの干し方があります。

  • 2個で1組にする:物干し竿などにかけて吊るす
  • 連にする(7~10果程度):左右を縛って横つりにする(もしくはV字方式にする)
  • 連にする(7~10果程度):上部を縛って縦つりにする

吊るし方は分量や環境により使い分けます。

理想は(柿が紐に当たりにくい)横つりやV字方式ですが、量が少ない場合には2個を1組にして干し竿などにかけて吊るした方が楽ですし、連にする場合であっても上部だけを縛って縦つりにした方が楽です。

一般家庭では連であっても(作業性の面から)縦つりにしていることが多いかと思います。

干し柿を干す期間は?

干す期間にはばらつきがあります。

干し柿は乾燥歩合35%程度まで干すのがセオリーとされていますが、そこまで乾燥させるためにかかる期間には「柿の大きさ(品種など)」「天候や湿度」「干し場所」などの不確定要素が係わってきますので一概に何日とは言えません。

たとえば小ぶりな市田柿などは20日程度で仕上がることがありますし、大ぶりな蜂屋柿などは仕上がりまでに40日程度かかることもあります。

また干し柿にも種類があります。

  • あんぽ柿:水分率50%程度(歩留まり35%程度)
  • ころ柿:水分率25%程度(歩留まり25%程度)

干し柿の違いは水分率の違いです。

水分率が50%程度になるあんぽ柿は「軟らかな食感となめらかな舌触り」が特徴的な干し柿ですし、水分率が25%程度になるころ柿は「ねっとりとした食感と柿霜(柿からにじみ出た果糖やブドウ糖が結晶化したもの)」が特徴的な干し柿になります。

干し柿の種類が変われば干し上がりにかかる期間も異なります。

まとめ・干し柿の干し方は?

干し柿は風通しの良い半日陰に干します。

干し柿は初期の乾燥が遅れるとカビが生じやすくなりますので、風通しの良い場所に干すことが基本になります。長く直射日光に当たってしまうと黒く変色してしまいますので、可能であれば風通しの良い半日陰が理想の干し場所になります。

家庭での干し柿ではカビのリスクを軽減するために意図的に日向に干すこともあります。