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こんにちは、めしラボ(@MeshiLab)です。
家庭料理にも重宝される雪平鍋ですが、使用方法や食材の特徴によっては変色してしまうことがあります。特にゆで卵などを作ると鍋の内側が黒く変色してしまうことからも「体に悪いのでは?」と心配する方も少なくありません。
多くの場合、雪平鍋の変色はアルミニウムの腐食が原因になっています。

今回の記事は次のような人におすすめ!
- 雪平鍋の変色(黒ずみ)原因は?
- 雪平鍋の変色に体への害はないのか?
- 雪平鍋を変色しにくくする方法は?
雪平鍋(アルミ鍋)は変色します。
一般的な雪平鍋は熱伝導率に優れたアルミニウムで作られています。アルミニウムは食品中の反応成分(酸、アルカリ、卵を調理する際に生じる硫化水素など)により白色、灰色、黒色などに変色してしまうことがあります。
そのためフッ素樹脂加工やアルマイト加工された製品が多くなっています。非アルマイトやアルマイトの剥がれてしまった雪平鍋は変色しやすくなっていますので注意が必要です。
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アルミニウムの変色とは?
雪平鍋の変色は酸化物や水酸化物によるものです。
アルミニウムは調理による酸、アルカリ、卵から発生する硫化水素などに反応してしまいやすい金属です。そのためにお酢を使った調理をすると鍋がピカピカになりますし、卵を茹でると黒く変色してしまったりすることがあります。
雪平鍋の変色は大きく2種類です。
白色の変色 | 白さび |
---|---|
黒色の変色 | 黒変化現象 |
白色の変色は「アルミニウムと水分が反応して形成された水酸化アルミニウムの色」であることが多く、黒色の変色は「水酸化アルミニウムと水分中の微量物質(ミネラル)が反応したことによる色」であることが多くなります。
そのため軟水の地域よりも硬水の地域の方が変色しやすくなります。
変色に害はあるのか?
雪平鍋の変色に健康への害はありません。
アルミニウムは両性金属(酸とアルカリの両方に反応してしまう金属)ですので調理による多少のイオン化は起こりますが、厚生労働省の示している数値では「すべての調理道具をアルミニウム製に切り替えても問題は起こらない値」になっています。
問題となるのは雪平鍋へのダメージとなる可能性があることです。
本来、アルミニウム(非アルマイト)は自然酸化による酸化皮膜により守られています。この酸化皮膜があるからこそ変色(アルミニウム酸化物や水酸化物など)が起きても腐食が進行することはありません。
アルミニウムは自然酸化により不動態皮膜を形成するということです。
しかしアルミニウムには「塩化物イオンやアルカリ環境には特に弱い」という特徴がありますので、酷い変色が起こるような扱い方(料理を入れたままにしておくなど)をしてしまうと孔食(ピンホール)が発生して穴が開いてしまうこともあります。
これらのことからも雪平鍋を長く使っていくためには注意が必要です。
雪平鍋の黒ずみを落とすには?
黒ずみの落とし方には大きく2種類があります。
クレンザーなどを使って物理的に落とす方法と、酢水などの酸により表面を溶かして落とす方法です。メーカーの取扱説明書や家庭料理の参考書などでは酢水などを煮立たせる方法を推奨していますが、個人的にはクレンザーなどの使用をおすすめします。
物理的に落とした方が手早くきれいに仕上がります。
クレンザーなど | 物理的に表面を削り落とす |
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酢水など | 酸により表面を溶かして落とす |
重曹を使用してはいけません。
重曹やセスキ炭酸ナトリウムなどを使った掃除をしている場合には「研磨作用のある重曹を使えばいいのでは?」と考えてしまうかもしれません。しかし重曹は強い塩基性(アルカリ性)ですのでアルミニウムと反応して黒色化が進んでしまいます。
このことからも、クレンザーやスチールウールを使用して落としていきます。
ちなみに研磨力は「クリームクレンザー<クレンザー<スチールウール」の順になりますので、軽度の黒ずみであればクリームクレンザーを使用して重度の場合にはスチールウールを使用するようにします。
変色しにくくするには?
アルミニウムは酸化皮膜により変色しにくくなります。
雪平鍋の酸化皮膜には大きく3種類があります。それが「アルマイト(陽極酸化皮膜)」「自然酸化皮膜」「米のとぎ汁や米ぬかなどを煮立たせることにより形成される酸化皮膜(アルマイトに似た簡易的な酸化皮膜)」です。
雪平鍋にアルマイト加工のものが多いのは酸やアルカリに反応しにくくなるためです。
アルマイト (陽極酸化皮膜) | 強制的な酸化による厚い皮膜 |
---|---|
自然酸化皮膜 | 自然に形成される薄い酸化皮膜 |
米ぬかやとぎ汁などを煮立たせる | アルマイトに似た簡易的な皮膜 |
アルマイトと非アルマイトでは扱いが変わります。
アルマイト加工の雪平鍋は皮膜を維持することがポイントとなり、非アルマイトの雪平鍋は自然酸化や米ぬかなどを上手に利用しながら使っていくことがポイントになります。たとえば、大根の下茹でや豚バラ肉の油抜きなどのように「米ぬかなどと一緒に煮立たせる下ごしらえ」に使っている雪平鍋は自然と変色しにくくなります。
反対に、使い込まれてアルマイト加工がすり減ってしまっている雪平鍋やゆで卵を頻繁に作っている雪平鍋はすぐに変色してしまうことになります。
まとめ・雪平鍋の変色原因は?
雪平鍋は正しく使用していてもも変色します。
雪平鍋はアルミニウムと水分が反応することにより白色の水酸化アルミニウムが形成され、水酸化アルミニウムと水分中の微量物質(ミネラルなど)が結びつくことにより黒色へと変色してしまいます。
変色を防ぐためには酸化皮膜を形成させることがポイントとなり、アルマイト加工、自然酸化皮膜、米のとぎ汁などを煮立たせることで形成される簡易的な皮膜などが利用されています。
※板厚は谷口金属が2.2mm、遠藤商事が2.6mm、アカオアルミ(やっとこ鍋)が3.0mmです。ホームセンターなどで販売されていることの多い安価な雪平鍋は1.3mmなどの薄板ですのでおすすめできません。