お米の吸水時間は?

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こんにちは、めしラボです。

家庭料理に関する書籍には「洗米後には30分以上(冬は1時間ほど)水に浸してから炊きはじめましょう」などと書かれていることが多いかと思います。お米をご飯に炊き上げるためにはしっかりと吸水させる必要があるためです。

しかしレシピ通りに水に浸しても必ずしも最良の結果になるとは限りません。

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今回の記事は次のような人におすすめ!

  • お米を炊くための吸水時間は?
  • 十分に吸水できているのかの確認方法は?
  • 鍋炊飯と炊飯器の違いは?

お米(うるち米)の飽和吸水量は米重量の20~25%です。

飽和吸水量に近づいたお米は「米粒全体が白く濁る」ようになります。吸水が不十分なうちに炊きはじめてしまうと(特に鍋炊飯の場合は)デンプンの糊化(α化)が不十分なために美味しくないご飯に炊き上がってしまいます。

時間にすると1時間程度はみておきたいところです。

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お米を吸水させてから炊飯する理由は?

お米のデンプンは糊化(α化)により食べられるようになります。

生米のデンプンはブドウ糖の分子が鎖のようにつながって結晶粒を形成していますが、そのままでは消化吸収が悪く食味も良くありません。デンプンには「水のある状態で加熱をすることによりブドウ糖の分子が緩んで消化吸収が良くなる」という性質がありますので、炊飯により美味しく食べられるようになります。

デンプンの糊化には水分が不可欠です。

  1. お米を十分に吸水させる

  2. 60~65℃以上で加熱をする

  3. デンプンが糊化する

  4. 消化吸収が良くなる

吸水が不十分だと糊化にムラができます。

デンプンの糊化には水分が不可欠ですので、吸水が不十分な状態で炊飯してしまうと芯の残る「にわか炊きご飯」と呼ばれる状態になってしまいます。そのため美味しいご飯を炊き上げるためには十分に吸水させることが不可欠であるといえます。

どんなに美味しいお米であっても吸水が不十分であれば美味しく炊き上げることはできません。

ちなみに…

お米のデンプンは炊飯によりいったんは糊化(α化)しますが、αデンプンには「そのまま放っておくと粘りを失い生に近い状態に戻っていく」という変化を起こします。それによって食味が低下して消化吸収も悪くなります。この変化をデンプンの老化(β化)と呼びます。

お米の吸水時間は?

お米の吸水時間は30分以上です。

吸水時間は温度などに影響されるため一定ではありませんが、低温・高温問わず1時間後の吸水量は米重量の20%前後になることが確認されています。精白米(うるち米)の飽和吸水量が米重量の20~25%であることからも1時間ほど水に浸しておけば問題なく炊飯することができます。

以下のようなイメージです。

  • 5℃での60分後吸水量は20%弱
  • 16℃での60分後吸水量は20%強
  • 30℃での30分後吸水量は20%弱

飽和吸水量には2時間ほどの時間を有します。

お米の飽和吸水量は米重量の20~25%ですが、一定に吸水されていくわけではありません。お米を水に浸けると最初の15~30分の間に急激に吸水が進みます。その後は緩やかな上昇カーブをたどり2時間ほどで飽和吸水量に達します。

このことからも理想は2時間、現実的には1時間ほどの吸水時間をおすすめしています。

水に一晩浸けておいても大丈夫?

前の晩から水に浸けておいても問題はありません。

お米の吸水時間の理想は2時間です。それ以下では吸水(細胞組織の膨潤)が不十分になってしまうリスクがありますし、それ以下では米粒が崩れやすくなることがあります。また微生物の繁殖による風味の変化が起こる可能性もあります。

そのため長時間水に浸しておく場合には冷蔵庫や氷を利用します。

しかし時間があるのであれば必ずしも水に浸しておく必要はありませんので、洗い米(ザルに上げて吸水させたお米)にして冷蔵庫に入れておくことをおすすめします。洗い米にしておく方法であれば冷蔵庫の場所も取りません。

絶対的な正解はありませんので生活スタイルに合った方法をおすすめします。

調味料添加のタイミングは?

炊き込みご飯などの調味料は吸水後に加えます。

調味料の存在はお米の吸水時間や飽和吸水量への悪影響になります。味付けご飯には塩や醤油などを加えますが、これらの調味料にはお米の吸水を妨げる作用があるために、必ず十分に吸水させてから加えるようにします。

ちょっとした違いですが、ご飯の仕上がりには大きな差が生じます。

また白いご飯の場合であってもニガリ(塩化マグネシウム)や油などの添加をする場合があるかと思いますが、これらを添加するタイミングも吸水後がおすすめです。

炊飯器を使用する場合の注意点は?

炊飯器は吸水なしでも炊飯できます。

これは炊飯器に吸水を考慮したプログラム(水温30~40℃を10~15分ほど保持してから沸騰期へと移行するようなプログラム)が組み込まれているためです。それによって吸水なしでもそれなりに食べられるご飯に炊き上げることが可能になっています。

これらのプログラムによって炊飯器での炊飯には1時間ほどかかることになります。

  1. 温度上昇期

  2. 沸騰期

  3. 蒸し煮期

  4. むらし

ちなみに○○モードは時間配分の違いです。

たとえば早炊きモードは吸水と蒸らしの時間を短縮することにより全体の時間を短くしていますし、玄米モードは(通常モードよりも時間はかかりますが)温度上昇期と沸騰期をしっかりと行うことによりふっくらと炊き上がるようにコントロールされています。

このような機能があるからこそ、炊飯器での炊飯は大きな失敗がしにくくなっています。

まとめ・お米の吸水時間は?

お米の吸水時間は1時間以上が理想です。

精白米(うるち米)の飽和吸水量は米重量の20~25%です。洗米後の精白米を水に浸けると最初の15~30分で急激に吸水します。その後は緩やかな上昇カーブをたどり(温度に関係なく)2時間ほどで飽和吸水量に達します。

このことからも(鍋炊飯の場合は)最低でも30分、できれば1時間、理想は2時間というのが個人的におすすめしたい目安時間になります。