瓶詰めで長期保存する方法は?

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こんにちは、めしラボです。

トマトピューレをストックしています。トマト缶が安く販売されていますが、夏に収穫したトマトを煮詰めて作ったトマトピューレにはトマト缶にはない良さがあります。多少手間はかかりますが美味しいので毎年仕込むようにしています。

トマトピューレの瓶詰めはおすすめできる保存食です。

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今回の記事は次のような人におすすめ!

  • 食材を瓶詰めにして脱気する方法を知りたい。
  • 瓶詰めで長期保存する際の注意点を知りたい。
  • 本当に安全なのかを知りたい。

瓶詰め脱気をすると常温での長期保存が可能になります。

しかしすべての食材を瓶詰めにできるわけではなく、一般家庭でできるのはpH(水素イオン指数)の低いジャムやトマトピューレ(またはトマトの水煮)などに限られてきます。これはpHが高くなるほどに殺菌条件が厳しくなるためです。

煮沸(100℃未満)での低温殺菌ができるのはpH4.5以下の食材になります。

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瓶詰めできる食材とは?

瓶詰めできる食材とは?

瓶詰めできる食材は限られています。

基本的にはどんな食材であっても瓶詰めにすることができます。しかし一般家庭で殺菌条件(殺菌温度や殺菌時間など)を満たすことができるのはpHの低いジャム類やトマト加工品(トマトジュースやトマトピューレなど)などになります。

殺菌条件は食材、味の濃さ、pH、形状などにより異なります。

たとえば食品のpHについては「中性で最も菌の耐熱性が高くなる」「酸性やアルカリ性では弱くなる」という特徴があります。家庭での瓶詰めにpHの低い食品をおすすめしているのは「pH4.5以下では100℃以下での殺菌(低温殺菌)が可能になる」ためです。

以下は缶詰の殺菌温度と時間です。

水素イオン指数(pH)殺菌温度(℃)殺菌時間(分)
みかん3.6~4.08312
もも3.6~4.29525
まぐろ油漬け5.8~6.211280
カレービーフ6.011290

瓶詰めでの長期保存には殺菌条件を満たしている必要があります。

瓶詰め方法は?

保存瓶と新しいキャップ(ふた)を使用します。

保存瓶は繰り返し使用することができますがキャップはシール部分が劣化するために1度しか使えませんので注意してください。このことからも瓶詰めする機会が多い場合には新しいキャップをストックしておくと便利です。

以下は瓶詰めづくりの流れになります。

  1. 保存瓶の熱湯消毒

    瓶を煮沸消毒します。

    step.1

  2. 食品の瓶詰め

    食品を作って熱いうちに瓶詰めします。

    step.2

  3. 瓶詰め食品の脱気

    キャップを閉めてから1/4回転だけ開けます。瓶の上2.5cmまで水位がくるようにぬるま湯をはってから火にかけます。20~30分ほどかけて沸騰直前まで温度を上げます。殺菌温度になったら時間を計測しはじめます。

    step.3

  4. 瓶詰め食品の密閉

    殺菌が終わりましたら熱いうちにキャップをしっかり締めます。翌日にキャップが凹んでいれば脱気されていますので冷暗所で12カ月ほどの保管ができます。

    step.4

殺菌条件は食品形状によっても変化します。

たとえば液状のものは熱が伝わりやすいために加熱時間が短くなりますが、固形状のものが多くなると熱が伝わりにくいために加熱時間は長くなります。このことからもトマトピューレなどにしてから瓶詰めすることをおすすめします。

加熱時間に関しては、ふつふつと沸いている状態(90~95℃前後)で20~30分というのがひとつの目安になります。

ボツリヌス菌のリスクは?

ボツリヌス菌のリスクは?

瓶詰めにはボツリヌス菌のリスクがあります。

ボツリヌス菌は嫌気的な環境を好む微生物です。増殖する際に毒素(ボツリヌス毒素)を産生します。この毒素は神経伝達物質であるアセチルコリンに作用して神経と筋肉の伝達を遮断するために麻痺症状を起こします。自然界に存在する毒素では最も強毒でフグ毒の1000倍以上であるとされています。

pHが低い食品ほど殺菌条件が低くなるのはボツリヌス菌のリスクが低くなるためです。

生育pH4.6~5.0以上
生育温度3.3~15℃以上
芽胞の死滅条件120℃4分以上

※値に開きがあるのはボツリヌス菌には数種の型があるためです。

これらのことからも家庭で瓶詰めにできる食品は限られてきます。

ジャムはペクチンをゲル化させるためにpH2.7~3.5に調節されるために低温殺菌での瓶詰めにすることができます。しかしインターネット上に紹介されていることのある「酸味を少なくしたジャム」は瓶詰めできない可能性があります。

また、トマトのpHは完熟度により変化します。

たとえば結実初期のトマトはpH4.0~4.2ほどですが、黄熟(pH3.6~3.8)、完熟(pH3.4~3.6)、過熟(pH3.6~3.8)のように変化していきます。このことからも完熟トマトを使ったトマト加工品であれば家庭でも殺菌条件を満たしやすくなります。

トマト缶にクエン酸が添加されているのはpHを下げて安全性を高めるためでもあります。

まとめ・瓶詰めで長期保存する方法は?

ジャムやトマトは瓶詰めにすると常温で1年ほどの保存が可能になります。

まとまった量の完熟トマトを手に入れやすい季節に瓶詰めにしておくことで1年を通してトマト料理を楽しめます。おすすめは6割ほどまで煮詰めて作るトマトピューレです。トマトピューレを作っておけば炒めた玉ねぎやニンニクと合わせるだけでも美味しいトマトソースになります。

煮詰める時間を短縮できることからも夏にまとめて作っておくと便利な保存食になります。